女子ゴルフ 初Vから連続優勝の竹田麗央(21) ダイヤモンド世代でも突出した“飛ぶのに曲がらない力”

「ダイヤモンド世代」の躍進が止まらない。2003年度生まれの女子プロゴルファーたちのことで、竹田麗央(21)が「フジサンケイレディスクラシック」で初日から首位を守って逃げ切り、2週連続優勝を果たした。前週の「バンテリンレディスオープン」でも勝利しており、初Vからの2週連続優勝は史上4人目の快挙となった。そのプレーを掘り下げていくと、“理想的”ともいえる強みが浮かび上がってきた。

【写真7枚】躍進が止まらない!女子プロゴルファーの「ダイヤモンド世代」。勢いに乗る20~21歳の注目選手ら

 昨年のメルセデス・ランキング上位50位までの2024年シード選手のなかのダイヤモンド世代は、竹田のほかに神谷そら(21)、佐藤心結(20)、尾関彩美悠(20)、川崎春花(20)、櫻井心那(20)と5人いる。世代の中心たる川崎をはじめ、尾関、神谷、櫻井に続いて、竹田は5人目の優勝者となった。

 竹田は“ゴルフ一家”の出身で知られる。母はプロゴルファーの平瀬哲子(旧姓で登録)、叔母は1993年と1994年の賞金女王となった平瀬真由美(日本ツアー18勝、米ツアー1勝)で、父もゴルフショップを経営。母がコーチをするかたちで6歳からゴルフを始め、高校1年生の時には九州ジュニアで優勝している。それだけに、早くから大きな期待がかけられてきたが、優勝にはなかなか手が届かなかった。ゴルフ担当記者が語る。

「昨年は37試合に出場してトップ10が8回。メルセデス・ランキング22位で初シードとなり、今シーズンはいつ優勝してもおかしくない状況でした。開幕戦こそ予選落ちしたものの、2戦目からは5位、5位、6位、12位の成績で、このうち3試合が最終日最終組でのラウンドだった。優勝になかなか手が届かないことで、叔母の平瀬真由美プロからは『優勝は自然に来る。勝とうと思ったらすり抜ける』とアドバイスを受けていた。そうして手繰り寄せた初優勝でした」

振り切ることでボールをコントロール

 竹田の武器といえるのが、ドライバーの飛距離だ。2023年のドライビングディスタンスは258.91ヤードで2位。飛ばし屋の勲章ともいえるイーグル数9も2位で、パー5の平均スコアではツアー史上最少となる4.6300を記録している。

「ダイヤモンド世代」には“飛ばし屋”が揃っている。竹田が2位だった2023年のドライビングディスタンスで、1位を獲得したのは神谷そら(260.82ヤード)、3位は櫻井心那(258.59ヤード)だった。飛ばし屋ベスト3がいずれも「ダイヤモンド世代」なのだ。プロゴルファーの沼沢聖一氏が解説する。

「新しいギアを使いこなしている。あとボールを打つだけでなく、筋トレで足腰や腕力を総合的に鍛えている世代といえます。強い体幹を活かし、体のターンを使って振り切っているのが特徴です。これまでは置きにいくプロが多かったが、この世代は振り切ることで左へのミスを減らしながら安全に遠くへ飛ばそうとしている」

 ただし、ゴルフは飛ばせばいいというわけではない。飛ばし屋は基本的にフェアウエーキープ率が低く、逆に飛距離が小さいほうがフェアウエーキープ率は高くなる。

「飛ばし屋はより短い番手を持つことができるが、ラフに捕まればランが計算できずピンを狙うのが難しくなってしまう。一方、飛ばなければフェアウエーのいいポジションから2打目が打てるわけです。実際、フェアウエーキープ率が高いプロがコンスタントに成績を残してきています。山下美夢有(22)はフェアウエーキープ率が79.0841で1位。ドライビングディスタンスは238.26ヤードで53位ですが、2022年、2023年と2年連続で年間女王に輝いている」(前出のゴルフ担当記者)

 ベストはフェアウエーキープが高く、かつ飛距離が出ること。誰もがそう思いながらもなかなか実現できないわけだが、竹田はその部分のバランスが理想的なのだという。

「LPGAが公表しているツアー記録にトータルドライビング(ドライビングディスタンス順位とフェアウエーキープ率順位を合算した値)がある。この順位が上位のプロほどバランスがとれているということになり、2023年の1位は稲見萌寧(24)、3位が原英莉花(25)、年間女王の山下美夢有も5位タイと、安定した成績を残すプロが名を連ねています。そうした面々に続いて、竹田は8位に入っている。『ダイヤモンド世代』の飛ばし屋3人を見ても、櫻井は23位、神谷は38位と、竹田が一番上でした」(同前)

 前出の沼沢氏も「飛ばし屋の竹田が国内屈指の難コースである川奈で勝った意味は大きい」と指摘する。“飛んで曲がらないプロ”の道を進もうとしている竹田麗央から目が離せない。

2024-04-23T08:23:13Z dg43tfdfdgfd