小祝さくら“私、バーディーなんて取ってないよ作戦”で首位発進 森田理香子は“イーグルありダボあり”も予選通過を射程に

パターの握りを“少し”変えて余計な動きがなくなった

◆国内女子プロゴルフ<ヤマハレディースオープン葛城 3月28~31日 葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県) 6455ヤード・パー72>

「ヤマハレディースオープン葛城」初日、小祝さくらが6バーディー、ノーボギーの「66」をマーク。6アンダーで単独首位に立った。1打差の5アンダー・2位タイには昨年の大会優勝者・穴井詩と竹田麗央が並ぶ。3週ぶりのツアー出場となった森田理香子は1オーバー・69位タイ発進となった。

 スタートの10番パー4、ピンまで残り115ヤード地点からピッチングウェッジで放った第2打はピンそば2メートルにピタリと止まる。それを沈めてバーディ発進した小祝。幸先よいスタートに気分が乗ったのかと思いきや、心の中である不安がよぎったという。

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「バーディー発進したときは、その後にボギーが続くことが多い。結局ハーフターンのときにはスコアがよくなかったりするよな……」

 調子がいいと思い、さらにバーディーを重ねようとして、無理な攻めをするのかもしれない。聞けば、逆にボギー発進のほうが、最終的に好スコアで上がる傾向が強いとのこと。確かに慎重な攻めの姿勢が好結果を生むのはよく聞く話だ。

 今回、小祝がバーディー発進の後に考えたのは、“私、バーディーなんて取ってないよ作戦”だ。

「10番のバーディーを取ったこと自体はいいんですけど、頭の中では取ってなかったものだと思い込んで、11番から頑張ってバーディーを取ろうと気持ちを切り替えました」

 見事にその作戦は成功し、13、15、16番でバーディーを奪ったかと思うと、後半も3、4番で連続バーディー。気がつけば、6アンダーまでスコアを伸ばし、単独首位に立っていた。

 もちろん気持ちだけでバーディーを奪えるはずはなく、小祝なりにしっかりとバーディを取る準備をしていた。それがパッティングのグリップを変えたことだ。

「右手は変えず、左手の小指をパターに掛ける位置を下げたんですが、先週まで握りがしっくりこなかったので変えてみました。フェースコントロールが安定し、ストロークで変な動きをしなくなりましたね」

 開催コースの葛城ゴルフ倶楽部山名コースはグリーンの傾斜が大きく、見た目以上に切れるが、グリップを変えたことでフィーリングが良くなり、難しいラインにもタッチを合わせることができた。今季初優勝に向けていいスタートを切ったことは間違いない。

イーグルを決めた瞬間、まるで優勝したかのような歓声が

 開幕戦のダイキンオーキッドレディスで6年ぶりにツアー復帰しただけでなく、予選通過して36位タイに入り、話題を集めた森田理香子が3週ぶりにツアーに登場した。

 午後スタートだったこの日は、スコアこそ73の1オーバーで69位タイに終わったが、中身は1イーグル、1バーディー、2ボギー、1ダブルボギーと、森田らしさ満点のゴルフを展開した。最も盛り上がったのは、言うまでもなく3番パー5でのイーグルだ。ピンまで残り230ヤードを5番ウッドで約4メートルにつけ、しっかりと沈めた。

「すごい楽しい1日でした。イーグルも取れましたし、リカバリーを決めてたくさんパーセーブできたし、もしも自分がギャラリーだったら、結構喜んだと思います」

 実際、イーグルを決めた瞬間は、まるで優勝したかのような歓声がギャラリーから上がったという。まさに森田劇場を演じて見せた。

 今大会は出場人数が多いため、60位タイが予選カットラインとなるが、今季2度目の予選通過も見えるところでフィニッシュできたのは大きい。

「やるからには予選を通りたいし、明日はアンダーパーで回れると思うので、しっかりチャンスをものにしたいです」

 復帰3試合目となり、試合勘もかなり戻ってきた森田。そろそろ上位争いをしても不思議ではないだろう。

 また、この日は前年度優勝者の穴井詩も5番パー5でイーグルを奪取。首位と1打差の2位タイでフィニッシュした。さらに、今季は2週連続最終日最終組で回るなど、成長著しい竹田麗央も15番パー5でのイーグルが効いて穴井と同じ5アンダーの2位タイにつけている。

小祝 さくら(こいわい・さくら)

1998年4月15日生まれ、北海道出身。98年度生まれの“黄金世代”の1人として2017年にプロ入り。19年サマンサタバサガールズコレクション・レディースで初優勝。23年シーズンは1勝を挙げて、メルセデス・ランキング4位に。ツアー通算9勝。ニトリ所属。

森田 理香子(もりた・りかこ)

1990年1月8日生まれ、京都府出身。2008年にプロテスト合格し、翌09年からJLPGAツアー本格参戦。賞金ランキング27位で早くもシードを獲得し、大器の片鱗を見せた。初優勝は10年の樋口久子 IDC大塚家具レディス。13年には年間4勝を挙げて初の賞金女王に。18年を最後にツアーから遠ざかるも、24年「ダイキンオーキッドレディス」で約6年ぶりの復帰を果たす。

山西英希

2024-03-28T22:14:54Z dg43tfdfdgfd