パリ五輪「東京の悔しさ晴らす」 ホッケー女子の狐塚美樹(28)

 2004年のアテネ五輪から6大会連続の出場を決めたホッケー女子日本代表「さくらジャパン」。狐塚美樹選手(28)は、予選ではディフェンダーとして活躍し、副主将も務めた。1次リーグで12チーム中11位となり、決勝トーナメントに進めなかった東京五輪に続く本大会でのメンバー入りに意欲を見せている。

地元開催の国体で選手宣誓をする狐塚美樹さん=2022年10月1日、宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎ、津布楽洋一撮影

 インドで行われた最終予選で、パリへの切符を得られるのは残りわずか3チームだけだった。激烈な戦いで、日本は全5試合とも僅差(きんさ)の激戦が続いた。

 先輩たちがつないできた連続出場の記録を途切れさせてしまったらという重圧や不安、恐怖を大会前から感じていた。それでも「自分たちならできる」という自信とポジティブな気持ちを失わなかった。3位決定戦は東京五輪で4位だった強敵インド。開催国で、会場は完全にアウェーだったが、強気だった。

 「相手の方が重圧がある。自分たちは観客もあまり気にならなかった」

 スピードやパスワークで攻撃力が高いインドに対し、決して守りに入らず、攻める気持ちに徹した。結果的に1―0で競り勝ち、最後の1枚のパリへの切符を手にした。

 東京五輪のチームでは、年齢的に若い方だった。パリ予選では代表メンバーの世代交代もあり、中堅に……。今回は「自分たちでつかみ取った」という実感があった。

 「東京五輪では、今も思い返せるぐらい悔しい場面もあった。その反省を生かすことが一番」

 パリの1次リーグは、東京五輪で金メダルだったオランダなどと同じ組。東京五輪で全敗だった日本にとっては、強敵相手の試合が続く。「強いチームとどう戦っていくかは、自分たち次第だと思う」と気を引き締める。

 ディフェンダーだが、「安定したプレーでチームをコントロールしたり、スピードを使って攻撃参加をしたりするプレーができたら」と、攻守両面で活躍することを心がけている。

 地元開催だった2022年の「いちご一会とちぎ国体」では、総合開会式で選手宣誓の大役を務めた。競技の枠を超えて県を代表するアスリートの1人になったが、「日本でホッケーはまだまだ有名なスポーツにはなっていない」と冷静にみている。「ホッケーをやっています」と言うと、「アイスホッケーですか」と返されるのだという。

 「栃木県のお家芸」と言われるホッケーだが、競技人口の減少は他のスポーツ同様、深刻だ。今年2月に開催されるはずだった県高校新人大会は、各校の部員が足りずに男女とも大会中止に追い込まれた。

 厳しい状況を改善するため、「代表でも(所属する)グラクソでももっと強いチームを目指す。結果を残せば皆さんにも注目してもらえると思う。五輪は大事。結果が求められている」と決意を語る。

 地元・日光市のショッピングセンターでは、正月から子どもを対象にしたホッケー教室が開かれており、協力もする。「子どもたちが初めてホッケーに触れる機会。面白くてもう一回やりたいと言ってくれる子も多い。そういう機会を増やしていきたい」

 栃木県の選手も参加していた日本男子は、あと一歩でパリ出場を逃した。五輪ではその分まで奮闘するつもりだ。(津布楽洋一)

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 こづか・みき 1996年生まれ。日光市立大沢中で先輩に誘われてホッケーを始める。今市高で全国高校総体準優勝。卒業後に県内の実業団チーム「グラクソ・スミスクライン・オレンジ・ユナイテッド」に入団。ワールドカップ、杭州アジア大会、東京五輪などで日本代表。

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