ボクシング 前日計量で体重超過の堤駿斗が元世界王者のモレノに3回TKO圧勝 新型コロナ感染の後遺症でほとんど練習できず

プロボクシングのフェザー級10回戦が17日、東京・後楽園ホールで行われた。前日計量で58・7キロと同級のリミットを1・55キロ体重超過し、計量失格となった前東洋太平洋同級王者で、WBC世界同級8位、WBA世界同級10位の堤駿斗(はやと、24)=志成=が、WBA世界同級9位のアンセルモ・モレノ(38)=パナマ=に3回2分45秒KO勝ち。プロ5戦5勝(2KO)とした。

当日計量をクリアして実施された試合で、堤は圧勝したものの、前日の失態を涙声で謝罪した。

「計量オーバーしたのに対戦を受けてくださったモレノ選手、モレノ選手の陣営の皆さま、申し訳ございませんでした。歴史あるボクシングという競技を汚してしまいすみませんでした」

1回から右ボディーを中心に攻め、ジャブの差し合いで上回る。モレノをスピード、パンチ力の両方で大きく上回り、3回に左ボディーを効かせると、左アッパーでダウンを奪う。再開後にラッシュで片膝をつかせると、モレノは立ち上がることができずに10カウントを聞いた。堤は笑顔を見せることなく、頭を下げた。

「リングの上に変な感じを持ち込んだりとか、わざと負けたりするようなことはしてはいけないと思った。それこそさらにボクシングを汚す行為だと思った。リングの上ではオーバーウエートですけど、全力で闘わないとなと思いました」

2月25日から3月24日まで米ネバダ州ラスベガスでスパーリング合宿を敢行。試合後には「全部言い訳になってしまう」と前置きした上で最終日に高熱を出し、帰国後に新型コロナウイルス感染と診断されたこと。1週間寝込み、その後は後遺症に苦しんでスパーリングなどのまともな練習はまったくできなかったことを明かした。この日もウオーミングアップをすると肺が苦しくなったという。

「今日の自分には何も言う資格がない。いつになるかわからないですけど、このリングに戻ってこられるように精進いたします」

堤には6カ月のボクサーライセンス停止処分が科される。試合を行ったため、次戦での転級義務は生じない。「フェザー級でやるのは今回の反省にならない。階級を変えざるを得ないかなという心境ではあります。フェザー級でやるのも一つの考えだと思うので、チームを話し合って決めたい」と今後の階級については未定だとした。

アマチュア13冠のホープ、堤は22年7月にプロデビューし、昨年5月に東洋太平洋同級王座決定戦で同級3位だったジョー・サンティシマ(フィリピン)に3-0の12回判定勝ち。日本男子最速記録だった田中恒成(畑中)、清水聡(大橋)のプロ4戦目を更新する3戦目で東洋太平洋王座を獲得した。昨年大みそかに東京・大田区総合体育館で、WBA世界同級15位だったルイス・モンシオン・ベンチャーラ(ドミニカ共和国)に3回TKO勝ち。初の世界ランカー対決でプロ初のKO勝ちを収めた。

モレノは元WBA世界バンタム級スーパー王者で、WBA王座を12度防衛した古豪。13度目の防衛戦で陥落し、2015年9月の次戦でWBC世界同級王者だった山中慎介(帝拳)に挑戦。1-2で12回判定負けした。16年9月に再度山中に挑戦し、7回TKO負けを喫した。17年5月にスーパーバンタム級、19年4月にフェザー級に昇級。7連勝中だった。鼻を骨折していることが濃厚で、「話したくない。すぐに病院へ行きたい」と取材に応じなかった。

興行はインターネットテレビのABEMAで午後6時から独占無料生配信された。プロ戦績はモレノが51戦43勝(15KO)7敗1分け、サンティシマが30戦23勝(19KO)7敗、ベンチャーラが13戦11勝(9KO)2敗。(尾﨑陽介)

2024-04-17T13:20:43Z dg43tfdfdgfd