井上尚弥に「ボコボコのメッタメタ」 スパーで対戦した新王者・武居由樹が感謝「試合に生きた」

衝撃の逆転TKOから一夜明け会見

ボクシングの34年ぶり東京ドーム興行で勝利した選手たちが試合から一夜明けた7日、会見した。WBO世界バンタム級新王者・武居由樹、WBA世界同級王者・井上拓真(ともに大橋)は神奈川・横浜市内の所属ジムで実施。新王者に就いた武居は同門の井上尚弥とのスパーリングに感謝し、拓真は統一王者へ気を引き締めた。

豪華な一夜明け会見となった。武居と拓真は、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の尚弥とともに会見。セミファイナルと務めた武居は最終12回にダウン寸前となった末、王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に3-0の判定勝ちした激闘を振り返った。「みんなからたくさんパワーをいただいた」と感謝し、「ホッとしているけど、内容はまだまだ。まだ成長できる」と話した。

実は試合1か月前に尚弥と10ラウンドのスパーを実施。大橋秀行会長は「やらせたくなかった」と言うが、尚弥は「僕が一方的にやりたいと言って」と明かした。防戦一方となった武居に対し、周囲は「武居、止めれるぞ! 頑張れ!」と叫ぶほどだったという。武居は当時を振り返った。

「凄くいい経験だけど、本当にボコボコのメッタメタ。格闘技人生で一番ボコボコ。(尚弥に向かって)ありがとうございました。尚弥さんと練習して自信になったわけではないけど、いい経験になった。試合に生きたと思う」

本番はマロニーの猛攻に耐えきる展開。尚弥は「互いにマススパー(拳を軽く当てる程度の練習)に毛の生えたようなもんですよ。1か月前なのでガチガチの殴り合いじゃないです」とフォローした。元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナーは、武居の成長を労った。

「判定までいったら持って行かれると思っていたけど、試合が決まってから昨日までの日々の武居の成長が、判定でもポイントを取れるようなボクシングになったんじゃないかなと。何よりついこの前の会見でも言いましたが、ワンツーを打てるようになった。嘘でしょと思う人もいたと思いますけど、嘘じゃなくて本当に昨日の試合でも打っていた。それが彼の成長です」

バンタム級は武居と拓真のほか、WBC王座に中谷潤人(M.T)、4日にIBF王座に就いたばかりの西田凌佑(六島)がおり、武居の勝利で全4つのベルトを日本人が独占。武居は「まずは王者になるのを目標にしていた。次はまず1回防衛を。ここがスタートラインになるので次の目標に突っ走るだけ」と先を見据えた。

拓真は奪われた初回のダウンを回顧「このままじゃ終われない、と」

拓真は指名挑戦者・石田匠(井岡)に3-0で判定勝ちし、2度目の防衛に成功。しかし、初回にダウンを奪われた。この日は「ダウンをしてそこから冷静に、着実にポイントを獲れて挽回できたのは収穫。今後もそういう場面が来た時に冷静に対応できるかなと思う」と自信を深めた一方、「今後は統一戦に向けてしっかり防衛を重ねて、課題を克服してもっと強くなれるように頑張りたい」と気を引き締めた。

ルイス・ネリ(メキシコ)に6回TKO勝ちした兄・尚弥も初回に試合では人生初ダウン。兄弟そろって初回に劣勢に立たされ、父・真吾トレーナーは「まさかのサプライズがあったけど、そこから盛り返してよかったです」と振り返った。兄弟世界戦は2019年11月以来。当時は敗れた拓真は勝利で繋いだ今回に胸をなでおろした。

「前はいいバトンを繋げなかった。その中で初回にダウンしてしまって、『これじゃ一緒』と思った。『このままじゃ終われない』と冷静に組み立て直して、結果的にいいバトンを渡せた。ナオ(尚弥)もいい結果で勝ってくれたので最高です」

目標は統一王者。「バンタム級は全員日本人。これから面白くなるし、その中でもっともっと強くなって井上拓真の存在を証明したい」と力を込めた。

THE ANSWER編集部

2024-05-07T09:42:48Z dg43tfdfdgfd