女子ゴルフ国内メジャー制覇、韓国の15歳リ・ヒョソンがアマ規則で「賞金2400万円」受け取れず 副賞は「規則に抵触しない範囲で授与」とJLPGA回答

 今シーズンの国内メジャー初戦となる「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」(5月5日最終日)を制したのは、韓国の現役女子高生アマチュア・李暁松(リ・ヒョソン)。2014年に勝みなみが記録した15歳293日を塗り替える15歳176日での国内女子ツアー最年少優勝だった。メジャー制覇の優勝賞金は2400万円にのぼるが、実はアマチュア選手の優勝の場合は1銭も受け取ることができないのだという──。

【表】ベンツほか豪華賞品!こんなにすごい国内女子メジャーの優勝賞金&副賞

 今回の優勝によりリ・ヒョソンは、4週間以内にプロ宣言すれば日本ツアーで1年間のシードを得てプロとして戦える権利を得たが、放棄する意向だという。ゴルフ担当記者が言う。

「彼女は2022年と2023年の韓国女子アマを連覇しており、韓国の最強アマチュアゴルファーです。今大会は最終日に日韓の賞金女王を逆転しての優勝で、プロツアーでも通用する実力があると証明したが、韓国ではプロ転向は18歳以上ということで当面はアマチュアを続けるようです」

2位のプロが1位の賞金をゲット

 こうしてアマチュアの優勝者が出た場合に関係者の注目を集めるのが、「優勝賞金を受け取れない」という規則の存在だ。今回も優勝賞金2400万円を2位の佐久間朱莉(21)が手にしたと翌日のスポーツ紙でも報じられた。ツアー関係者が説明する。

「アマチュアゴルファーは賞金を目的にプレーしてはいけないというJGAのアマチュア資格規則がある。そのためプロツアーなどに出場する場合、事前にそのイベントでの賞金を受け取る権利を放棄する書類にサインをしなければならないのです。アマチュア選手が獲得したはずの賞金は、下位のプロに分配されることになります」

 このルールを破って賞金をもらってしまうと、アマチュア資格を剥奪されてアマチュア競技に出場できなくなる。

 2014年に「KKT杯バンテリン・レディース」を15歳293日でアマチュア優勝した勝みなみの優勝賞金は1800万円だったが、2位のイ・ボミが手にした。2016年にメジャーの「日本女子オープン」でアマチュア優勝した畑岡奈紗の優勝賞金2800万円は、2位の堀琴音に回されている。

大会後のプロ宣言で賞品がもらえることも

 女子ゴルフの国内レギュラーツアーは全37試合。賞金総額は44億円に膨らみ、副賞も年々豪華になっている。

 メルセデスベンツ日本がLPGAのオフィシャルパートナーということもあり、副賞がベンツの大会が10あり、他にもトヨタ、三菱自動車、スバル、レンジローバー、ホンダ、フィアットなどのスポンサーが自動車を提供している。

 開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」ではヤンマーのプレジャーボート、「ヤマハレディース」ではグランドピアノ、水上オートバイ、「パナソニックオープンレディース」ではパナソニック製品一式、「CATレディス」は2023年実績でミニ油圧ショベルカー、200万円相当のクルーズ利用券が副賞となっている。

 今回、リ・ヒョソンが優勝した「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」では、メルセデスベンツEQA250(770万円相当)、久光製薬商品1年分、常陸牛20キロ、コシヒカリ3俵、飲むヨーグルト1年分などが副賞として用意されていた。アマチュア選手の優勝となったが、その扱いはどうなるのだろうか。JLPGAに確認したところ、広報担当者はこう回答した。

「副賞の取り扱いにつきまして、(サロンパスカップの)大会事務局に確認いたしました。副賞は、アマチュア資格規則に抵触しない範囲で授与することになりました。(抵触しない範囲への)変更後の副賞内容の回答は控えさせていただきます」

 JGAのアマチュア資格規則では、「スクラッチ競技でプレーするアマチュアは、競技あたり10万円以下(ただし、国の統轄団体がそれ以下の限度額を定めた場合を除く)の価値の賞(賞金を含む)を受け取ることができる」と定められており、このルールに沿って10万円以内のものが授与されたとみられる。

「トロフィー類は10万円という限度額のなかに含まれないので受け取れるが、ドラコンやホールインワンといった競技中のボーナスについては受け取れない。放棄された副賞については提供スポンサーの判断に任されており、スポンサーが認めれば優勝者がチャリティーとしての寄付もできる」(前出・ツアー関係者)

 男子ツアーでは、2023年に「ダンロップフェニックス」でアマチュア優勝した杉浦悠太(日大4年=当時)が優勝直後にプロ宣言。優勝賞金(4000万円)は大会前の時点でアマチュアだったために受け取れなかったが、副賞のメルセデスベンツEQS450(1700万円相当)や宮崎牛1頭は受け取ることができた。ゴルフ担当記者は「受け取る時点でプロなら問題ないというスポンサーの意向だった」と説明する。

 今回、プロ宣言しなかったリ・ヒョソンは「3年後に日本ツアーでも活躍できる選手になりたい」の言葉を残して帰国した。迎え撃つ日本勢はどのような新世代が誕生しているのか。賞金も商品も受け取れるプロとなる3年後が、今から楽しみだ。

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