《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が退任する背景と今後の去就

 2024年4月3日、バレーボールVリーグ女子1部のJTマーヴェラスは、5月31日付で吉原知子監督(54)が退部することを発表し、バレーボール界に衝撃が走った。

【写真】身長180㎝の吉原知子監督。スタイル抜群の凛としたスーツ姿、他、JT退部のコメント原文

 吉原氏は1988年4月、日立ベルフィーユ(2001年に廃部)に入部し、日本代表として1992年のバルセロナと1996年のアトランタ五輪に出場。勝つためには妥協も許さない姿は“闘将”と呼ばれた。2004年のアテネ五輪の世界最終予選では、7年ぶに代表に招集され主将に抜擢。2大会ぶりにオリンピック出場権を復活させるなど、精神的支柱としてチームを牽引した。

 2006年5月に膝の故障を理由に現役を引退。その後、2015年にJTマーヴェラスの監督に就任すると、チームは1年目でV・プレミアリーグに昇格。2020-21シーズンには皇后杯とV・プレミアリーグの二冠に導き、チームを常勝軍団に押し上げた。

 今シーズンもレギュラーラウンドで無傷の開幕22連勝を達成。男女通じて、2016年のV・プレミアリーグ創立以降3度目、第一次Vリーグを含めると4度目の快挙を成し遂げ、監督続投と思われていた矢先の退部発表だった。吉原氏は退部について、同チームのサイトを通じて、以下のコメントを発表した。

「このたび、監督として9年間お世話になりましたJTマーヴェラスとの契約が満了することをご報告いたします。常に勝利を目指し、高い目標を立て選手と向き合ってきました。選手、スタッフ、関係者の皆さん、ここまで一緒に目標に向かいまい進できたことに感謝します。これからもJTマーヴェラスが一丸となって強いチームとしてVリーグを引っ張ってもらえればうれしく思います。9年間ほんとうにありがとうございました」

 公式戦22連勝、リーグ優勝5回の功労者である吉原氏が退部する理由はどこにあるのだろうか。Vリーグ関係者はこう語る。

「吉原さんが就任されてから、選手に『勝利』のメンタリティーを植え付け、同チームの歴史の中で黄金期を作り上げた監督になりました。しかし、JT側は別の方針を打ち出していました。このまま吉原さんに任せていくのではなく、『血を入れ替える』ことを希望したようです。マンネリ化を防ぐために監督を変え、来シーズンから新体制で挑むことを決断したのでしょう」

 5月31日付で、正式に退部する吉原氏。今後の去就について前出のVリーグ関係者によると、「3つの選択肢がある」という。

「1つ目は、国内の別のVリーグチームの監督への就任です。2つ目は、2024年11月からスタート予定のアメリカの新プロリーグ・リーグワンバレーボール(LOVB)に所属するチームの監督就任。そして3つ目は、日本女子代表の監督です。

 1つ目の『国内の別のVリーグチームの監督』については、新シーズンが今年6月に開幕が迫っているため、時間的な問題で難しいかもしれません。2つ目の『米国の新プロリーグの監督』においては、あくまでスタート予定となっているので、今後どのように進んでいくのか注視しなければなりません。

 そして、最後の『日本女子代表の監督』は、8月下旬のパリ2024オリンピック終了後に、現在の眞鍋政義監督(60)が交代するかどうかは未知数です。そして、正式にオファーが届くかどうかは分かりません。そういった背景から、吉原さんはまず全てのオファーに目を通して、魅力的なものがなければ解説などの仕事を受けながら、来期まで好条件のオファーを待つ可能性もあります」(同前)

 9年間“チームを勝たせる”ことだけに、全身全霊をかけて戦ってきた吉原氏。彼女が作り上げた『常勝チーム』に、多くのクラブが魅力を感じており、好オファーが届けばすぐにでも別のチームで監督に就任する可能性はある。吉原氏は周囲に「JTと闘えるレベルのチームを作って、倒したい」と語り、闘志を燃やしているという。どのような決断を下すのか。名将の今後に注目が集まる。

2024-04-19T02:28:47Z dg43tfdfdgfd