【巨人】次期エースの責任感…マウンドを降りた山崎伊織がベンチでなく向かった先とは

◆JERA セ・リーグ 巨人2―0中日(23日・ひたちなか)

 巨人・山崎伊織投手が7回途中無失点の好投で今季2勝目を手に入れた。だが、より高いレベルを常に目指す右腕にとっては、悔しさも残る試合になった。

 完封ペースかと思われた7回、突如乱れた。先頭の中日・中田翔にストレートの四球。1死後、岡林に左前安打を浴びた所で、阿部慎之助監督が直接マウンドへ向かい交代を告げられた。

 まだ87球。しかも9連戦の初戦。内海投手コーチが試合中に「9連戦の頭なので少しでも長いイニングを投げほしいですね」とコメントしたが、山崎自身が誰よりその思いは強かったはずだ。

 悔し気な表情でボールを預け、右腕が向かったのはベンチではなく、右翼ファウルグランド側へ設けられたブルペンの前だった。そのまま、しばし立ち止まり、待った。ブルペンの扉を開けて、2番手の高梨雄平投手が飛び出してきた。その左腕を自ら出迎え、ペコリと一礼。自身の乱調で、急な準備から救援に向かう先輩左腕への、せめてもの気遣いだった。

 「それはいつも次の投手の方が出てくるのはしっかり声をかけてから見ているんで。でも、前の時も梨さん(高梨)にピンチで投げてもらって、ほんとにいつもいつもすみません」

 そして戻ったベンチでは、最前列で声をからした。ピンチをしのいだ高梨に、誰よりも先に飛び出してハイタッチで迎えた。

 ヒーローインタビューでも、決して饒舌(じょうぜつ)な方ではない。言葉よりも、その行動で気持ちを表すシャイな男が、時折のぞかせる熱いハート。菅野から戸郷へ、そして未来のエースへと受け継がれる勝利への責任感が、垣間見えた。

2024-04-23T13:01:56Z dg43tfdfdgfd