【真中満のセ・リーグ順位予想】巨人は「Bクラス」も打倒・阪神の「一番のダークホース」 中日、ヤクルトは躍進

プロ野球2024

真中満インタビュー第1回(全4回)

セ・リーグ順位予想

3月29日、いよいよプロ野球が開幕。昨年のセ・リーグは阪神タイガースが優勝し、球団として38年ぶり2度目の日本一にも輝いた。はたして、今年のペナントレースの行方は? 東京ヤクルトスワローズでの現役時代に計4度の日本一を経験し、監督としても2015年リーグ優勝を果たしている解説者の真中満氏にセ・リーグの順位予想をしてもらおう。

【圧倒的投手力を誇るタイガース連覇する!?】

ーーさぁ、今年もペナントレースが始まります。開幕前のお楽しみということで、2024年ペナントレース順位予想を始めたいと思います。前編はセ・リーグからお願いします。

真中満(以下同) まず予想順位から発表しますね。こんな感じで予想しました。

1位・阪神タイガース

2位・東京ヤクルトスワローズ

3位・中日ドラゴンズ

4位・読売ジャイアンツ

5位・広島東洋カープ

6位・横浜DeNAベイスターズ

ーーなるほど、古巣のスワローズは2位なんですね。では、順を追って、その理由を教えてください。

 まずタイガースですけど、去年の戦い方を見ていても投手力が圧倒的にいいですよね。昨年、MVPを獲得した村上頌樹を筆頭に、大竹耕太郎、伊藤将司、青柳晃洋、西勇輝など、先発陣が質量ともに充実しています。

 村上、大竹は昨年が実質1年目だったので、2年目のジンクスが心配されるかもしれないけど、オープン戦を見ている限りでは今年もやりそうな気はしますね。

ーー村上投手は、オープン戦で大量失点を喫した試合もありましたが大丈夫でしょうか?

 僕は大丈夫だと思うけど、仮にダメだったとしても、今年あたりはそろそろ髙橋遥人が出てきそうな気配もあるし、中継ぎ陣も充実しているので、投手陣については心配はいらないと思います。課題を挙げるとすれば、タイガースの場合は攻撃陣でしょうね。

ーー昨年は、ほぼ不動のオーダーで日本一に輝きました。

 今年も顔ぶれは変わらないと思います。僕は「1番・近本光司、2番・中野拓夢」については心配していません。やっぱり、キーとなるのは大山悠輔、佐藤輝明でしょうね。主軸であるふたりへのマークが厳しくなるなかで、去年同様、いや去年以上の活躍ができるかどうか? それによって得点力が大きく変わってくるので、このふたりがカギになりますね。

ーー続いて2位は、真中さんの古巣であるスワローズです。例年、「忖度アリで」とのことですが、今年も忖度アリでの2位でしょうか?

 やっぱり今年も忖度アリで2位です(笑)。でも、十分Aクラスを狙える位置にいます。やっぱり、打線はいいですよ。攻撃陣に関してはセ・リーグトップでしょうね。今年の村上宗隆は昨年よりもずっとコンディションがよさそうだし、オスナ、サンタナの両外国人も安定している。

 昨年は不振に苦しんだ山田哲人は、オープン戦の起用法を見ていると、今年は3番固定ではなく、2番や6番になりそうで、また新しい攻撃パターンが期待できると思いますね。

ーーやはり、課題は投手陣でしょうか?

 昨年は田口麗斗がみごとにクローザーを務めてくれたし、清水昇、木澤尚文、新外国人のエスパーダなど、中継ぎ陣は頭数がそろっています。スワローズの課題はとにかく先発陣。ある程度計算できるのが小川泰弘とサイスニードのふたりというのがまず苦しい。そこに続く、吉村貢司郎、高橋奎二がどこまでやれるかがポイントですね。

【ドラゴンズの投手力とジャイアンツの爆発力】

ーースワローズに関しては、別編でじっくりと触れたいと思います。では3位のドラゴンズについて。昨年最下位から、一気にAクラス進出ですか?

 ここもタイガース同様、圧倒的に投手力がいい。小笠原慎之介、柳裕也、髙橋宏斗、涌井秀章、そこに今年は梅津晃大が戻ってきて、大野雄大もいる。クローザーのマルティネスは今年もやるでしょう。やっぱりドラゴンズの場合も攻撃陣がポイントですね。

ーー新たに中田翔選手も加わったドラゴンズ打線について、どう見ていますか?

 中田の場合は、コンディションがよくてシーズンを通じて出場できればある程度の成績は残せると思います。その間に期待の若手である石川昂弥、細川成也が安定感を持って1年間フルに活躍できるかどうか、そこにかかっているでしょうね。

 中田が入って、石川や細川がしっかり働けば、ビシエドへの負担も軽くなって、昨年よりは得点力も上がる。ということで、3位にしました。

ーーでは続いてBクラスですが、4位は阿部慎之助新監督のジャイアンツです。

 阿部新監督の下でチームは変わると思いますね。ただ、投手力ではタイガース、ドラゴンズに劣るし、打線ではスワローズに劣る。そういう理由で4位予想にしました。

 ピークを過ぎつつある菅野智之は若干気になるけど、戸郷翔征は安定していて、山﨑伊織、赤星優志ら若い投手が台頭してきているので、投手陣は少しずつ整備されている感じはありますね。昨シーズンは中継ぎ陣には苦しんだけど、他球団から移籍してきた馬場皐輔、泉圭輔あたりが機能すれば面白いんですけど、その点はまだ不透明ですね。

ーー「阿部監督の下でチームが変わる」というのはどういう理由からですか?

 二軍監督時代に早稲田大学との練習試合で負けた時、選手たちに罰走をさせたことで話題になったけど、一軍監督就任後も、秋広優人に対してかなり厳しいコメントを残しています。

 もちろん、選手の個性を見ながら接していると思いますが、むしろ最近では選手たちと積極的にコミュニケーションを図るなど柔軟な姿勢が目立ちます。こんなこと言ったら失礼だけど、ジャイアンツが一番の「ダークホース」だと思いますね。

ーー2位スワローズ、3位ドラゴンズよりも優勝の可能性が高い?

 ジャイアンツに「ダークホース」というのも失礼だけど、2位、3位のチームよりも爆発力はあるので、「打倒タイガース」の一番手だと、僕は見ています。

【タイガース連覇の可能性は60%】

ーーでは、5位のカープについてお願いします。

 カープは「若い選手がどれだけ機能するか?」にかかっていると思いますね。打線に関しては西川龍馬が抜けたのはかなり痛い。でも、僕が注目しているのが田村俊介。高卒3年目で、今年あたり出てきそうな気配もある。

 昨年は2位だっただけに、若い力がどれだけ台頭できるかで順位は変わってくると思いますね。ただ、現状の戦力を見ると上位4チームには劣るということで5位予想です。

ーー就任2年目となる新井貴浩監督についての印象はいかがですか?

 ふだんは平静を装っているけど、勝負どころになると5回、6回であっても、一気呵成に手を打ってくる。そんな印象がありますね。藤井彰人ヘッドコーチとのコミュニケーションも良好で、勝負勘に優れた監督だという印象があります。

 ただ、ピッチャーに関しては、栗林良吏や矢崎拓也はいるけれど、それ以外の中継ぎ陣が少々手薄なので、どこまで整備できるかもポイントです。

ーーそして、最下位はベイスターズということですが、その理由は?

 ベイスターズは、打線はすごくいいと思うんです。だけど、このチームもスワローズ同様、問題はピッチャー。先発ピッチャーで言うと、昨年7勝の今永昇太が抜けて、同じく10勝のバウアーもどうなるかわからない。さらに、中継ぎ陣にも不安が残ります。

 昨年は山﨑康晃の状態が上がらず、伊勢大夢も6〜8月は防御率5.55と不振だった。昨年、その穴を埋めた森原康平も、そこまで全幅の信頼を寄せるほどでもない。こうした点で、最下位予想としました。

ーー先発のみならず、中継ぎ陣にも不安が残るというのが理由ですか?

 さっきも言ったけど、打線はリーグ有数の爆発力があるので「打って打って、打ち勝つ」というのが勝つためには大切だけど、それ以上にピッチャーが打たれてしまってはどうにもならない。そのあたりが大きなポイントとなりそうです。

ーーこれでひと通り順位は伺いましたけど、この予想はスムーズに決まりましたか?

 いや、かなり悩みましたよ。とくに「ジャイアンツを何位にすればいいのか?」ですね。結局4位予想としたけど、一気に優勝を狙える爆発力があるのもジャイアンツ。でも、やっぱり今年はタイガースが強いと思いますね。連覇の可能性は60%。僕は、そう見ています。

ーー続いて、パ・リーグの順位予想を聞いていきます。

第2回<【真中満のパ・リーグ順位予想】西武が大躍進にソフトバンクは「Bクラス」...オリックスの「山本由伸の穴」は不安なし>

第3回<ヤクルト打線は「忖度なしでセ・リーグNo.1」 真中満が考えるベストオーダーは「6番・山田哲人」>

最終回<ヤクルト先発投手陣は「いくら考えてみても苦しい...」 真中満が「12勝」を期待するキーマンは?>

【プロフィール】

真中満 まなか・みつる 

1971年、栃木県出身。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

2024-03-27T22:30:58Z dg43tfdfdgfd