藤井聡太叡王、“八冠” 陥落のピンチ…瀬戸際まで追い詰めた伊藤匠七段は「藤井を泣かせた男」との異名持ち

左から羽生善治九段、藤井聡太八冠、伊藤匠七段

藤井聡太叡王が “八冠” 陥落のピンチだ。

5月2日、将棋の第9期叡王戦五番勝負第3局が名古屋市内のホテルでおこなわれ、藤井聡太叡王(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)が挑戦者の伊藤匠七段に146手で敗れた。これでシリーズ成績は藤井叡王の1勝、伊藤七段の2勝となり、挑戦者が初タイトルに “王手” をかけた。

「藤井叡王は2020年の棋聖戦に初挑戦して以来、同一シリーズで連敗することなく防衛と奪取を重ねてタイトル数を伸ばしてきました。今回が初連敗。第3局も負ければ “八冠” から陥落することになるわけで、初めてカド番に追い込まれました」(将棋観戦記者)

敗れた藤井叡王は「難しい将棋だったが、中盤から終盤に入るあたりは何か手段があってもおかしくなかったかなと思う。そのあたりで間違えてしまったのは課題が残るところ」とコメント。続けて「カド番にはなったが、やることは変わらない。しっかり準備して頑張りたいと思います」と次戦での勝利を誓った。

だが、“ひふみん” こと加藤一二三九段(84)は、「日刊スポーツ」の連載「ひふみんEYE」で「工夫しないと大変」と心配している。

《藤井叡王は、先手番でエース戦法の角換わりを封じられました。一工夫しないと大変ですね。タイトル戦で初めてのかど番で、第4局は後手番。重圧のかかる対局で守勢にならずに踏み込めるのか。お手並み拝見といきましょう》

SNSでは “絶対王者” を崖っぷちに追い込んだ伊藤七段を称賛する声が圧倒的だ。

《藤井叡王相手にタイトル戦で連勝、しかも藤井叡王を角番に追い詰めるという、これまで誰も成し遂げていない事を伊藤七段が成し遂げたというのは、素直に凄い事だと思います》

《伊藤七段は藤井さんがいなければ既にタイトルをいくつか取っていてもおかしくない実力者。ようやく追い付いてきましたね。谷川、羽生、森内、佐藤、渡辺さんらがそうだったように、ライバルとの切磋琢磨が棋士全体のレベルを上げることにも繋がると思います》

《やはり王者がいくら強くても将棋界は盛り上がらない。羽生さんも同年代に優秀な棋士が多かったからこそ様々な新しい定跡が生まれ羽生さん自身も強くなっていった。藤井八冠も同年代と切磋琢磨して更に強くなって欲しい》

藤井叡王と伊藤九段はともに21歳。じつは子供の頃からのライバル同士で、2012年、小学校3年のとき、将棋大会で対戦している。

「このときは伊藤が大熱戦の末に藤井を制したのですが、負けた藤井が号泣したというエピソードが知られています。その後、プロ棋士となった藤井が次々と記録を塗り替えていくとともに、伊藤の『藤井を泣かせた男』という異名も広がっていきました」(前出・将棋観戦記者)

伊藤七段はあるインタビューで「藤井さんが負けるなら、相手は自分であってほしい」と語っている。

この強烈なライバル意識で伊藤七段がタイトル奪取を決めるのか、それとも藤井叡王が絶対王者としての貫禄を見せつけるのか。勝敗を決する第4局は5月31日だ。

2024-05-03T11:39:55Z dg43tfdfdgfd