虎のソナタ 雨中の激闘、選手も記者も過酷 中止で帰阪なら「新横浜駅取材」の備えも

(セ・リーグ、DeNA3-5阪神、5回戦、2勝2敗1分、24日、横浜)崖っぷちの九回。先頭の糸原が左前打を放った。打席に向かう近本を見ながら、いつか見たシーンを思い出した。

そう、あの日もマウンドにはハマの絶対的守護神・山崎がいた。そして、打席に入ったルーキー近本は、絶体絶命の九回2死一、三塁から、左翼席ポール際に逆転3ラン。ハマスタで数々の逆転勝利を目撃してきたが、その中でも屈指の、スッキリ快感を味わった夜。あの日以来、絶対的守護神だった山崎は、ハマスタでの阪神戦に限っては、それほど絶対的ではなくなった。

いつか見たシーンは、昨夜、鮮やかに進行した。近本が右前打で好機を広げ、あとは一気に大逆転。山崎が登場しても「まだ大丈夫」「まだ何とかなる」と感じたのは、あの日の感激が強く残っていたから。

というわけで、「あの日」はいつだったか、調べたら2019年4月25日。本日からさかのぼって、ちょうど5年前の奇跡だった。近本はルーキーイヤーの4月に、すでに勝負強かった。この逆転アーチが早くも4号。約5年後の劇的ドラマの〝隠れた主役〟は、最初からすごかった。

ハマの夜の再びの感激。きっとこの先、忘れえぬ記憶として刻まれるだろう。

プレーボールがかかるかどうかを心配した試合は、山あり谷あり、連夜の長~い試合になった。

ハマスタの雨は大丈夫? 当番デスク席の川端亮平に問いかけたのは夕刻だった。

「トラ番キャップ(新里公章)が、雨は止まないけれどプレーボールはかかると言ってました。何が何でも試合はやってもらいたいですからね」

阪神の試合が「ある日!」「ない日!」の違いは天と地の開きがある。紙面をデザインする立場の川端にとっては死活問題だ。

超マイペースな新里の言葉だけなら、誰も信じない(?)が、たぶん、恐らく、きっと、新里はネットで天気予報を調べているはず。現代の天気予報は信じられないぐらいに詳細で、あきれるほどに的中する。「10分後にいったん止んで、1時間後に強い雨が降り出す」な~んていう分刻みの予報までしてくれる。

新里の背後に〝介在〟する現代の予報を、デスク川端もすがる思いでチェックしていた。無事に試合が成立し、しかも激勝。紙面もにぎやか。いうことなしだ。

トラ番たちも、ややこしい仕事が1つ減った。もし、24日の試合が早々と中止になったら、タテジマ戦士は練習を終えると、一目散に帰阪する可能性だってあった。そうなれば、泊まっているホテルとチェックアウトして、後を追うように新幹線に飛び乗るのが、トラ番記者の宿命。トラ番の超優等生・邨田直人は「備え」は万全だった。

「ボクは新横浜駅の近くのホテルに宿泊していました。順調に予定を消化した場合は、25日の朝一番から、駅で選手を待って帰阪する選手を取材しなければいけないですし。早朝の移動を考えたら、新横浜駅近辺がベストなんです」

サッカー担当時代は、空港で張り込んで、選手が搭乗する便を確認して、移籍先を取材するという難易度MAXの取材をしてきた男に抜かりはない。うちのトラ番はたくましい。虎戦士はさらにたくましい。いよいよ、独走ムード?!

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