阪神・岡田彰布監督、1軍昇格の井上広大の10日スタメンを明言「使う、使う。使わんと」

阪神・岡田彰布監督(66)が9日、新大阪駅で取材に応じ、1軍に昇格する井上広大外野手(22)を10日のDeNA戦(横浜)でスタメン出場させることを明言した。2軍で打撃好調の若虎が相手先発で昨季最多勝、最高勝率の2冠を獲得した東克樹投手(28)を打ち崩し、貧打に苦しむ岡田虎の救世主になる。

画面越しでも、2軍が相手でも、力強いスイングが目を引いた。1軍の舞台でも持ち前のパワーを発揮できると判断した。今の勢いがあれば、好投手にもぶつけられる。岡田監督が井上の1軍昇格とともに、10日のDeNA戦で先発出場させる考えを示した。

「使う、使う。使わんと。東、初めてやけどなあ。ちょうどええやん、つこうても。ええ波の時に使うようにせんと」

新大阪駅のホームで右の大砲候補の1軍合流を「おお、井上、上がる、上がる」と明かし「いい時に上げやんとなあ」と理由を説明。2軍の直近5試合で打率・526(19打数10安打)、1本塁打、7打点と好調な〝旬〟を逃さず、先発オーダーにも名を記す。

セ・リーグ制覇、日本一を達成した昨季も、2軍から引き上げた選手をすぐに起用した。井上は昨年の4月18日に昇格すると、翌19日の広島戦(甲子園)に「6番・右翼」で先発。915日ぶりのプロ2安打目を記録すると、20日の同戦ではタイムリーを放った。2軍落ちした森下も5月19日に上がってくると、約1カ月ぶりに先発した翌20日の広島戦(甲子園)でサヨナラ打をかっ飛ばした。前川は1軍に初昇格した同30日の西武戦(ベルーナ)に「6番・DH」でいきなり先発。鉄は熱いうちに打つのが岡田の流儀だ。

5月に入って虎は1勝4敗1分けと負け越し、チーム打率・207という貧打に苦しむ。7、8日の広島戦(甲子園)で連敗して2位巨人とは0・5ゲーム差。10日に敗れれば首位陥落の可能性がある。さらに相手先発は昨季、最多勝、最高勝率の2冠に輝いた東。岡田虎は3度の対戦で2勝を献上し、防御率0・78と封じ込まれた。難敵左腕は今季も3勝無敗で、現状の戦いぶりでは旗色が悪い。だからこそ「(昨年途中から取り組む)ノーステップ打法が身についてきたんやろ」と、評価する若虎の勢いに攻略の糸口となる一打を期待する。

ようやく出番が巡ってきた井上も、カンフル剤として暴れる覚悟だ。大阪・履正社高から入団5年目。昨季はつかみ切れなかった居場所を今季こそものにしたい。「打てなくても引きずらないことが(昨季から)一番変わったと思う。上でも引きずらないようにして、結果を出せるようにやっていけたら」と意気込み、東に対しても「受け身にならず、自分から仕掛けていく打撃が大事になる」とイメージした。

岡田監督は「打つやつおれへんもん。(打線の)活性化っていうかなあ。いい結果出してほしいよ」と願いを込め、横浜に向かった。指揮官から現状打破のキーマンとして指名を受けた22歳の若虎が、連覇に向けて混セを抜け出す原動力になる。(新里公章)

■データBOX

◉…阪神はDeNA・東に対して通算4勝4敗だが、昨季は3度対戦して完封負けを含む0勝2敗で防御率0・78と封じられた。主力の通算対戦打率は近本・222、中野・353、森下・222、大山・148、佐藤輝・231、ノイジー・286、木浪・200

◉…セ・リーグは首位阪神から5位タイのヤクルト、中日まで2・5ゲーム差。開幕から全球団が30試合以上を消化し、首位から最下位までのゲーム差が2・5以内の僅差だったのは、2015年6月23日のセ・リーグ以来9年ぶり。このときは首位巨人から6位広島まで2・5差だった

■井上 広大(いのうえ・こうた) 2001(平成13)年8月12日生まれ、22歳。大阪・大東市出身。履正社高では2度甲子園に出場し、3年夏は3本塁打などで初優勝に貢献した。20年D2位で阪神入団。1年目からウエスタンで9本塁打を放ち、10月15日の中日戦で1軍初出場。4年目の昨季は春季キャンプで野手MVPに選ばれたが、打率・229、7打点にとどまった。通算21試合出場で打率・176、8打点。189センチ、100キロ。右投げ右打ち。年俸840万円。背番号「32」

2024-05-09T20:08:35Z dg43tfdfdgfd