韓国戦、大会初先発のGK野沢起用に疑問…動き硬く、声で指示することもなく痛恨の失点【大塚浩雄のC級蹴球講座】

◇22日 サッカー パリ五輪アジア最終予選兼U―23アジア杯1次リーグB組 日本0―1韓国(ドーハ)

 日本はこの重要な一戦に、負けるべくして負けた。勝てば準々決勝でA組2位のインドネシア、負ければ開催国、A組首位のカタールとの対戦となる。日本、韓国ともすでに連勝で決勝トーナメント進出を決めている。しかし、パリ五輪出場権獲得への道のりを考えれば、この一戦の持つ意味は大きい。

 日本はUAE戦から先発メンバーを7人代えててきた。準々決勝まで4戦連続で中2日という強行日程を考えれば、多くの選手で戦うという戦略は理解できる。実際、韓国も中国戦から先発10人を入れ替えてきた。

 その中で、疑問に感じたのがGK野沢の先発起用だ。中国戦、UAE戦で最も当たっていた小久保に代えて野沢をこの重要な試合で先発させる理由がわからない。

 小久保は高さもあるし技術的にも素晴らしいものをみせていた。なによりも判断が非常に良く、その守備範囲はA代表でも使いたいほどの広さがある。その小久保を代える理由があるとしたら、ケガかコンディションの問題だ。

 韓国は日本がボールを持つと5―4―1システムでブロックを形成し、カウンターを狙うという守備的な戦術で戦ってきた。このためそれほど目立たなかったが、野沢の動きは硬く見えた。パスにしてもキックにしても、攻撃の出発点として、リズムを生み出せない、ゲームに溶け込めていないという印象を受けた。この重要な試合で大会初先発となれば、難しいものがある。

 案の定、その硬さがゲームにでた。0―0で迎えた後半30分、左からの韓国のCK。逆サイドのキムミヌにヘッドでたたき込まれた。野沢は味方DFとぶつかってボールに触ることができず、DFも相手の位置を把握できないまま、競り合えなかった。

 この時、野沢は無言で守っていた。勝負どころのセットプレー、GKは全体を見ながら大きな声でDFに指示を出し、ポジションやマークの確認を行わなければならない。DF陣も声を掛け合うことなく、ボールしか見ていなかった。その結果、韓国は難なく決勝点を手にした。

 A代表のアジアカップでは大会を通じてミスの目立ったGK鈴木を使い続け、ベスト8に終わった。そしてこの大会は当たりまくっていた小久保を外して韓国に敗れた。球際の強さは韓国が勝っていた。それでも日本はチャンスを作ったが、相変わらずの決定力不足で決めきれない。細谷、佐藤はシュートが枠内に飛ばない。そして肝心なところで守りが機能しなかった。これでは勝てない。

 負ければ終わりの準々決勝カタール戦。完全アウェーの厳しい戦いをどう戦うのか。23選手中、22人の選手を起用。選手層が厚いことは分かった。ただ、この大会の目的は選手に経験を積ませることではない。五輪切符を獲得することだ。決勝トーナメントでは、大岩ジャパンのこれ以上ないベストな戦いを見せてほしい。

 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)

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